2013年12月24日火曜日

クリスマス・イヴ?

なんだか師走ってくらいで、今月はバタバタと慌ただしく時間が過ぎてしまい、ブログのアップもままならぬまま、気が付けばもうクリスマス、そして今日24日は自分の誕生日でもある。Facebookに熱心でない僕にも朝から続々とお祝いのメールが届いて、返信も忙しい。年賀状の挨拶にも似て一年ぶりにメッセージを送ってくれる人も多く、みんなの元気も確認できるのはいいな。

ここ南房総千倉町、七浦地区にはクリスマスというムードは一切無い。都内では繁華街のイルミネーションやら、街から流れる音楽等々、クリスマスに向けてそのムードはこの日に向けて徐々にも盛り上がるのが普通だが、この町にいるとクリスマス自体を忘れてしまうほどである。マーケットではすでにお正月向けの商品が並んでいて、年末気分には溢れているのだが・・・。

しかし、我が国でクリスマスを祝う習慣が根付いたのはいつ頃からなのだろう。今日で54歳を迎えた訳だが、小学生に入りたての頃、親が買って来てくれた植木鉢のもみの木に飾り付けをして、不二家のアイスクリームケーキと、鳥の骨付きもも肉のグリルを食べるのが楽しみだったのを覚えている。ただ当時、クリスマスはあくまで25日に祝ったもので、誕生日がイヴだった僕はちょっと残念?だった記憶がある。おまけに24日は学校の2学期の終業式で、成績表を渡されその成績いかんで誕生日の雰囲気が楽しかったり、そうでなかったりビミョーだった。あと誕生日とクリスマスのプレゼントを一緒にされて、なんだか損した気分でもあった(笑)。しかしいつからイヴがクリスマス行事のピークになったのだろう、記憶は定かでない。

さて、最近近所のマーケットでも出回りだした「菜花」、我が家でも収穫がスタート。この辺りでは「つま菜」と呼んだりもするが、おひたしにして唐子醤油で食べても、洋風なドレッシングで食べても美味しく、パスタに和えたり料理のバリエーションも多い。そして収穫の時期が長いのもありがたく、この時期我が家ではほうれん草や小松菜に変わって食卓に上がる機会は多い。

春先に向けて、南房総のフラワーラインなど暖かい気候をアピールすべく、道路脇に菜花が植えられ黄色い花が奇麗に咲き乱れ、たまに車を停めて摘んでいる人を見かけるが、これは食用の菜花ではないので食べちゃいけない!道路脇の環境でも枯れないようたっぷり農薬がかかっているので。

また、この辺りでは冬の間作付けをしない畑を利用して、この食用の菜花の種をまき育てたものを観光客に無料で提供している畑もあるので、案内を見たら是非摘んで帰って食べてみて欲しい。都内で菜花を買うと季節の珍味かいな?と思う程値が高いが、地元のマーケットでは一束¥100くらいで出回っているので、これを買ってもお得。この時期房総を訪れたら是非!

2013年12月10日火曜日

助っ人?

12月に入って安定した天候で暖かい日が続いていたかと思いきや、今朝は冬の嵐のごとく強風と豪雨にみまわれた。しかし午後には風は残っているものの一転して青空が広がり好天に。

さて、今日は午後から先日千倉でライヴをやったガラス工房「グラスフィッシュ」へ。世話になっているご近所さんが今年家を新築したのだが、そのお祝いに大場さんの作品をプレゼントしようという魂胆。

お願いした物が吹きガラスとしてはちょっと大きなものになるので、工房の大場さんも助っ人が必要だとのこと。オーダーする自分自身に作ってもらいたい物のイメージがあって、その辺を伝えながら作っていくのは楽しいし、自分が手伝うのが一番手っ取り早いのではないかと思って自分からお願いした。以前も自分の家の備品を彼に作ってもらったことがあり、その時も手伝いをかってでた。大まかな手順は覚えているつもりだったが、久しぶりのことではたして助っ人になったかどうか。

ガラスは色によって、加工の過程に特色が出るようで、今日お願いした赤い色味を出すのには加工が難しくちょっと苦労するとのこと。しかしムラが出やすいその色は、リスクと裏腹に芸術的に化けることもあると言う。なにせ一点物の作品、失敗の無いよう慎重に作業を進めていく。吹きガラスはガラスの伸び方、色の広がり方等、偶然の要素も多く同じものはできない。しかし同じデザインをイメージして数多く作ることで、作品のムラは少なくなるという。

今回お願いした形のものは、6~7年前に大場さんが作っていた作品を元にしたものだが、彼自身久しぶりに作る形という事に加え、加工の難しい色を頼んだので集中を切らせない。全行程、1時間半くらいだろうか?徐々に色と形がイメージに近づいていくと、こちらも興奮してくる。要所要所スピーディーな手際が必要だが、そこはベテランの職人技、安心して見ていられる。仕上げの段取りが一番大胆だろうか?完成形に一気に詰め寄る感じ。最後は形も色もイメージを超えて一瞬に出来上がる。結果、見事な一品となった。

熱々のガラスは急に冷ましてしまうと脆くなるので、一日かけてゆっくりと温度を下げていく。本当の出来は明日にならないと分からないが、今日の時点で素人の自分でも上手に出来上がっていると確信できる。やはり物作りは面白い。特に吹きガラスは音楽の持つライヴ感に似た高揚があると思う。こんな感覚で吹きガラスを作っている大場さんがちょっと羨ましい。

2013年12月3日火曜日

ことの次第

新しいコンテンツを追加する、その名も「Film Dramatique」。フランス語で「劇的な映画」という意味。

僕は映画好きかと問われれば「どちらかというと好き」というところか?ここ暫く映画館で見た映画はごくわずかだし、マメにレンタルショップからDVDを借りて見る事もしない。ただ80年代に映画にハマった時期があり、映画に対して自分なりの好み、偏見も含めその見方がその時分に出来上がった。好きな映画は何度も繰り返し見るし、DVDも借りるのではなく購入してしまう。

見終わって楽しいだけの映画に興味は無く、かといってシリアスで重た過ぎる映画も好きではない。一言で言うのは難しいが、ストーリーよりも映像が美しくテーマを何かひとつ投げかけてくるような映画が好きで、かつ日常的でリアリティのある作品が好きである。あくまで監督で映画を見る。なので脚本が出来過ぎているハリウッド映画はめったに見ない。ハリウッドスター (俳優) の名前も殆ど知らない。

そういえばミュージシャン同士で映画の話で盛り上がったという経験が無い。ただジャズ系のミュージシャンに映画好きが多いような気はするが。菊地成孔氏のグループで一緒に演奏しているが、彼は映画にも造詣が深く、映画に関する本も出版していて、彼の解説している映画は僕も殆ど見ていて、その解説もよく理解できる。実際の音楽の現場で映画について語り合うほどのことは無いが、僕の知る限りミュージシャンにして一番の映画好きではないだろうか。

このコンテンツを追加したのは、映画マニアからすれば大した内容ではないと思われるが、意外と知られていないのに、自分のセンスに影響を及ぼしている作品を抜粋して、紹介してみたいと思ったからである。ライヴを聴いてくださった方に「映像が見えるような音楽だね」などと言っていただけると嬉しいばかりでなく、映像と音楽を結びつける感覚が自分にあるとしたら、映画から受けた影響が無意識に生きているのかもしれない。

さて、その第一回目に紹介したい映画は、ヴィム・ヴェンダース監督の「ことの次第」である。1982年の作品。ちょうど映画にハマっていた80年代、84年にロードショーされた「パリ、テキサス」でヴェンダース初体験。この作品もインパクトのあるものだったが、当時この映画のヒットにより過去のヴェンダース作品がリバイバルされ公開されたものの中でとても印象に残ったもの。というか、僕の中ではヴェンダース作品の中で一番好きな作品である。近年DVDメディアで過去の作品をBOXでリリースしているので、もう劇場では見れないと思われた本作品を含め、「都会のアリス」、「さすらい」などいずれもモノクロの初期作品がラインナップにあるのが嬉しい。

ヴェンダース作品に一貫している特徴はロードムービー。特にドイツ人の彼がアメリカを舞台にロードを繰り広げる映像はどれも印象的である。「バリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩 (87年)」や「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ (99年)」とヒット作も多く、どの映画をとっても彼の作品独特のカメラアングルや色彩が印象に残る。

さて「ことの次第」、内容は作品を見ていただくしかないのだが、映画にして映画監督が主人公、「映画監督が映画で何を表現すべきなのか?」を自問自答するのがテーマという映画。こういう映画は他の監督にも作品があって、例えばフェリーニ監督の「8 1/2」も歴史に残る名画になっている。

ヴェンダースの作品を通して思うのは、彼は基本的にロマンチストであると・・・。作品によってはこの加減が微妙なものもあるのだが、「ことの次第」に関してはカッコいい作品だとひたすら思う。この2年後の作品「パリ、テキサス」のヒットを考えると、この作品によって大きく吹っ切れて、ターニングポイントになった作品でないかと推測する。是非ご覧になっていただきたいヴェンダース作品である。

自分のライヴのMC等で映画の話をした事は殆ど無いし、見ていない人に映画の話をするのも気がひけるというもの。ところが地方のジャズ喫茶の主などとちょっとしたキッカケで映画の話になると、ここぞとばかり話に花が咲くことも・・・。そんな時は自分の映画の知識など微々たるものだと思い知らされるが、いかんせん自分の周りに映画好きが少ないのか、まあこのコンテンツは独り言のような内容になりかねないが、自分同様「好きな映画」を語れないでいる輩が実は近くに隠れているのではないかという期待も込めて、暫く発信してみたいと思う。

2013年11月29日金曜日

「オオニシ」を走る

チャリンコネタです。

一昨日、4ヶ月ぶりに「こーぢ倶楽部」へ行ってきた。頻繁に通えないのは場所がかなり遠いこともあるが、それより与えられた課題をちゃんと体現できるようにするには、それなりの筋肉を身体につける必要があり、歳のせいか時間もかかる。ただ着々と回すペダリングは身につきつつあり、自転車に乗る事自体が益々楽しくなっている。

今回のレクチャーは上半身の筋肉の使い方が中心、こーぢさんの勧めるフォームは骨盤を立てて背中を丸めて引き足を使いやすくするというもの。それに伴ってハンドルの握り方、力の加え方など知らなかったテクニックをいくつも教わる。腰回りの柔軟性に加えて肩甲骨まわりもストレッチして肩から腕を動きやすくしていく。自転車に乗る前にイメージ作りの体操?をするのだが、これがかなりキツい。

最終的にこの日は3本ローラーで下ハンでダンシングして自転車を左右に大きく振るという技術を教わった。以前も何度かトライさせられ、なかなかスムースにいかなかったが、随分身体の軸がしっかりしてきたのか、だいぶ上手にダンシングできるようになってきた。ダンシングはサドルから腰を上げて、腹筋、背筋を使ってしっかりペダリングすることに加え、肩から腕、手の指先まで使って全身のパワーを自転車に伝えていく。まさに全身運動となる。かと言って肩や腕に力を入れるわけではなく、しなやかに自転車を振っていく感じ。

さて、習った技術を復習すべく今日は実走に出た。今日は天気はいいものの、冬型の気圧配置で気温も下がり、ここ房州特有の「オオニシ」と呼ばれる強風が吹いている。午前中まだそれほど風が強くない時間を狙って家を出るが、家の近くでは既に7~8mの風が吹いている。コースを南下すればするほど風が強くなってくる。白浜から洲崎へ向かう海岸線では10~15mくらい吹いているだろうか?

これだけ風が強いと、写真にある通り道路まで海岸の砂が飛んで来て、あっという間に道路に積もっていく。立っているだけでもこの砂が顔や身体に当たって痛い程である。風が一段落すると除雪車ならぬ、ショベルカーが出てこの砂をまた海岸へ戻す作業をしてくれるのだが、どうやら昨日からこの強風が吹き続いている様子。所々、道路幅いっぱいに砂が覆っている箇所もある。

まあ以前だったら、この強風に途中で引き返していたものだが、バイクのコントロールが少し上手くなったのかなんとか走れてしまうもので、早速レクチャーでのポイントを確かめながら、向かい風では下ハンで深い前傾姿勢をとりながら、回すペダリングに加えてハンドルの持ち方ひとつで安定しながら前進していく。かえって追い風でスピードに乗っている時の方が不安定で、不意に横風にあおられビビる。

この強風下でのトレーニング、出力も高めに維持でき効率的ともいえるが、人にはあまりおススメできないかも。風向きによっては背後から来る車の気配に気付きにくかったり、安全を考えると少々問題あり。風の度合いにもよるので、風を利用できるという範囲で乗るべきかな。

2013年11月21日木曜日

TAKANAKA

先週末の"Papa Boogaloo"の二連チャンのライヴの興奮も覚めやらぬまま、週初めから明日22日に迎える
"TAKANAKA 60th Groove" のライヴのリハーサルで忙しい。バンドのツアーは既に終わっており、今回はスペシャルライヴということで、ツインパーカッションとしてアディショナルメンバーに抜擢されたという訳。

かれこれ30年以上前の事になるが、それは僕の高校時代、サディスティックミカバンドからソロアーティストになった高中正義氏の1stアルバム「セイシェルズ」、2ndアルバム「TAKANAKA」を聞いてそのサウンドに魅せられ、コンサートを見に行っては高校のバンド仲間とコピーをしてライヴまで演っていた。

そしてプロとして仕事を始めて間もない頃、当時の高中バンドのメンバーであった小林ミミちゃんのバンドに参加していたこともあって高中さんとは面識はあったものの、今まで仕事として一緒に演奏したことは無かった。今回は先輩の斎藤ノヴさんに声をかけてもらい、蒼々たるメンバーと共に一緒に演奏させていただくことに。
ノヴさんとも随分長い付き合いになるが、ツインパーカッションとしてベタで1ステージ一緒に演奏するのはシングライクトーキングのツアー以来で10年以上ぶりとなる。

リハーサルをやってみて受けた高中さんの印象は「ロックミュージシャンだぁ」の一言に尽きる。どうも70年代のトロピカルなサウンドからフュージョンギタリストっぽい印象を受けがちだが、なんのなんの、リハーサルのやり方からしてシンプル。インプロヴィゼーションではなく、決まったリフを固めていく感じで、ギターの音色までもレコードやCDで聞いた通りの音が目の前で大音量で飛び出す。初期の作品はよく聞き込んだので「ああこの音、この音!」といちいち感激もするが、そこで一緒に演奏するのにただ必死になっている自分に気付く。

リハーサル中に疑問な点があれば即(リハーサル中演奏は全て録音されているのだが)、録音したその演奏をプレイバックして修正していく。これはレコーディングの作業と変わらないのだが、常に作品になる演奏の質を求められるので、緊張感もあれば良い意味で気合いも入る。というかもの凄く集中する。なので決してリハーサル時間は長くない。曲に慣れるまではちょっと気後れしたが、馴染むに従って演奏がどんどん楽しくなってくる。

プロなら当たり前の事かと思うかもしれないが、ライヴとレコーディングは別物と考えるミュージシャンも多い中で、この潔い音作りはメンバー個人々々の力量、責任感に委ねられる部分が大きく、ここをこうして欲しいとか細かいリクエストは全く無く、カッコ悪かったら二度とのライヴには誘われないだろうという事である。こちらも腹をくくって挑むのみ。できるだけの自分のパフォーマンスをぶつけるだけである。

僕がミュージシャンとしてプロになろうと思った時期は、その入り口は「ロック」しか無かったと言っても過言ではない(ジャズやクラシックを志した訳ではないので)。そしてそのプロのロックミュージシャン達は皆、ものすごく怖かった印象がある。当時、果たして自分がこういう人達の中でミュージシャンとしてやっていけるものかと、不安になったくらいである。ただ、「いい音」さえ出し続ければ何処かで誰かが認めてくれるものだと未だに信じている自分がいる。巷に増えた音楽学校では教えてくれない「現場の空気」というものがある。明日のライヴは、そんなバンドマンの基本の心構えを思い出させてくれる「現場」である。

まだ当日券が少しあるようなので、TAKANAKAサウンドに触れたい方は是非見に来て欲しい。場所は中野サンプラザ!

2013年11月17日日曜日

七浦フェスティバル

Papa Boogaloo、15日の千倉グラスフィッシュでのライヴは雨まじりの天候の中、遠方からも多くのお客さんが駆けつけてくれて100人程集まっただろうか?会場の熱気にも押されて演奏も否応なしに盛り上がり、大成功のうちに幕を閉じた。千倉に移ってもう8年目、わかりやすく、且つ上質の音楽をこの地にも届けたいと思い続けて何度かライヴをやって来たが、主催してくれたグラスフィッシュの大場さん、スタッフ、メンバー含め、全て手作りで行ったライヴ、今回が一番充実した内容となったのではないだろうか。そこに多くのお客さんに集まってもらえたのはなんとも嬉しい限りである。

さて、ちょっと話は変わって、僕の住んでいる千倉町南部の七浦地区には七浦小学校がある。何度かここの子供達にパーカッションのレクチャーなどしてきたが、千倉町の片隅にこんな素敵な校舎の学校があるのかとビックリ、その敷地にある校舎の中庭には階段状になったテラスがあって、音の響きといいロケーションといい、とてもいいスペースなのでいつかここでライブなど出来ないものかと思っていた。

ところが、千倉町全体、少子高齢化の傾向は強く、子供達の数は減るばかり。南房総市の方針で、来春千倉町にある小学校が一つに統合されることに決まった。聞けば七浦小学校は140年にも及ぶ歴史があるという。しかし七浦の子供達は町の中心部にある学校へ通う事になり、ついに七浦小学校は閉校となる。これまで校長先生とは「機会があれば是非何かやりましょう!」と話をしてきたのだが、なかなか実現できずにいたところ、この閉校を記念した行事をいくつかやるので、そのイヴェントで是非演奏をと相談され半年程前から準備しつつ、ついに実現することに。閉校はなんとも寂しい事なのだが、ここへ通っている子供達に少しでも心に残るイヴェントにしたいと協力を申し出た。

演奏に興奮して踊り出す幼稚園児達
日付はグラスフィッシュのライヴの翌日、16日の土曜日。小学校では「七浦フェスティバル」と題したイヴェントが行われた。この日は朝から雲一つない好天に恵まれ、子供達は午前中、苗木を山の麓に植える「植樹祭」。お昼を挟んで校庭に集まり人文字を書いて、それを空撮するという大イヴェント。その後、子供達による音楽会をこの中庭で披露、その後、Papa Boogaloo の演奏という内容。子供達の父兄はもちろん、おじいちゃん、おばあちゃん、回覧板を使って地域の多くの人に参加を呼びかけ、一日を通して七浦小学校には300人を超す人が集まった。

空撮後の中庭での音楽会では、併設されている幼稚園児も参加。合唱やお遊戯、そして大人も交じって千倉音頭の三味線の合奏など、それはそれは子供達の可愛い心温まるパフォーマンスで会場も和やかなムードに包まれる。そして僕らの演奏も子供達向けに「アンパンマンのマーチ」や「となりのトトロのテーマ」などラテンにアレンジして披露。徐々に盛り上がる演奏に子供達は興奮気味で自然と踊りだす。そしてハモニカの八木さんのソロパフォーマンスに会場も大喝采。最後にはラテンナンバーで大人も子供も踊って盛り上がりイヴェントを締めくくった。

七浦に住んで8年目ともなると、移り住んだ当初、この学校の生徒だった子も既に高校生になっていたり、地域に根付くよう生活していると子供の成長がよく見える。学校を尋ねるといつも子供達は大きな声で挨拶をしてくれるし、七浦の子供達はみな明るく元気でいい子が多いと思う。それにはのびのび通える学校があるからだろう。自分でも子供の時にこんな小学校があれば良かったなぁ、なんて思ってしまう。

私見だが、七浦小学校は千倉町で一番環境の良い学校だと思っている。他の学区の人々はこの小学校を見た事も無い訳で、市の方針とは言え、住民の多い地区の学校に統合を決めてしまうのは大人の勝手ではないのか?本当に子供に夢を与える教育を考えるならば、千倉町民全ての人が全ての学校を見て、子供達がのびのび育てる環境とは果たしてどんなものなのかをもっと議論すべきだったのではないかと、よそ者ながらこのイヴェントを通して考えさせられたのだった。

2013年11月10日日曜日

千倉でライヴ!

今週15日 金曜日、わが町千倉でライヴです。

ユニット名は "Papa Boogaloo" (パパ・ブーガルー)。ブーガルーとはR&Bとラテンのエッセンスがミックスした音楽ジャンルの一つ。
メンバーは八木のぶお (Harmonica)、津垣博通 (Piano)、高橋ゲタ夫 (Bass)、そして僕の4人編成。

今年の春、ベーシストのゲタ夫さんの主催のセッションで集まったメンツ。メンバーそれぞれではいろんな現場で顔を合わせてきたベテラン選手達。ただこの顔合わせは初めて! 各自持ち寄った楽曲に、みんなでイメージを膨らませて出てきた音は初めての顔合わせとは思えないほどブレンドして、優しく、そしてエネルギッシュに盛り上がり、セッションというより既にバンドサウンド。

んじゃ、なんとかこのメンツで地元でライヴをやりたいっ!と、千倉町でガラス工房 ”GLASS FISH”を主催する大場匠氏に相談すると、ひとつ返事で「やりましょう!」と。そして今回のライヴ実現に向けて徐々に準備を進めてきたところ。詳細は右のポスターをクリック!

なかなか地元でライヴをやる機会が無いので、是非この機会をお見逃し無く!Romanticaの楽曲も演奏しますよ〜。

2013年11月7日木曜日

農繁期に新車?納車!

いい歳して、戦闘機のようなチャリンコをゲット。このフレームとの運命的出会いを文章にするととてつもなく長くなるので割愛。スペシャライズド S-works Tarmac SL3、3年型落ちの売れ残り新品。価格も破格。しかもコンセプトストアで。9月あたまに契約、パーツ揃えて組み上げてもらったら、なんとこの農繁期に納車(汗)!

80年代からロードバイクを楽しむ人間としては、近年のバイクの進化について行けず、「やっぱりロードはヨーロピアン、クロモリ(鉄)でしょ」と、その造形美と乗り心地の優雅さにこだわりがちになる。しかしマウンテンバイクの流行から発展したアメリカンロードバイクは、その開発に莫大な予算をあて、最新の性能を備えたバイクを作り、今や多くの世界のトッププロチームに供給している。このバイクもそんなアメリカンロードバイクを代表する一台である。

まさか自分がこの歳になって、これほどガチなレース仕様のバイクに乗るとは思いもよらなかったのだが、冒頭にも書いたとおり、楽器同様、自転車も出会いなのか。現行モデルはSL4だが、3年型落ちのSL3とはいえツール・ド・フランスでも大暴れしたトップモデル。果たして自分には不釣り合いか?

納車される前にこのバイクのインプレを書いたWebやブログを見ると、硬い、脚に来る、反応がいい、加速がいいという意見が多かったが、加えて、僕にはスピードスケートの刃に乗っているような印象で、クランクを回すとそのトルクが一切逃げずに後輪に伝わって直線的なスピードにつながるようなイメージ。

脚力だけでなく体幹筋も使って身体全体でペダルを回せば、出せる出力全てをスピードに変えてくれる。疲れてフォームが崩れそうになると、姿勢を修正しながら効率よく力をペダルに伝えるポイントを教えてくれるようにも感じる。確かに高硬性だが、乗り心地までガチガチかというと、カーボンバイクらしいマイルドさもあって小気味いい乗り心地である。スピードがのりやすいので、楽しくなってついオーバーペースに。

天気がいい日は農作業が忙しいが、時間を作って軽くシェイクダウン、といつも走る平坦基調の海岸線を一定ペースを心がけて走ると、こんなログ。

距離 57.26km タイム 1:47:30 平均スピード 32.0km/h
平均心拍 142bpm 最高心拍 158bpm
平均出力 193W 最大パワー 449W

自分にすれば、何気に早い。平均心拍に対して平均出力はかなり高い感じ。経験値だとクロモリバイクでこの平均出力を出すとなると、多分平均心拍は150bpmを超えるだろうか。走りながら明らかに出力に対して心肺は楽だと感じられる。しかし低めの心拍の割に、乗ったあと背筋から腰回りの筋肉がグッタリと疲れた。という事は自ずと体幹筋が鍛えられるということか。

とにかく世界のトッププロがレースで戦うためのフレーム。戦闘機に遊覧飛行など許されないのと同様、このバイクに乗ると「気ままにサイクリング」とはいかない。一旦乗ったら、気合いが入ってトレーニングモードになる。この歳からの自分の可能性を広げ、早く走るというモチベーションを上げるにはもってこいのバイクだが・・・。身体が悲鳴をあげるまで走ってみるか。

2013年11月3日日曜日

タマネギ、今日でしょ!

今年ももう11月に入って、今日は3日。連休とあって南房総を訪れる人がかなりいる模様。県外ナンバーの車や数十人で群れをなすバイカー等、田舎にいると見慣れない人達は一目でわかるようになる。観光客が増えることは地元の産業も活気付きいいことだと思う。しかしこの連休、天候が安定しない。本来この時期、晴れれば抜けるような青空が広がって、乾燥した空気がちょっと肌寒く感じる時期だが、昨日は午後から雨、今日は晴れの予想だったが、どんよりと雲が多く空気も止まっている感じ。どうせなら天気のいい日にやってきて、南房総の気持ち良さをもっと感じて欲しいと思ってしまう。

しかし、個人的にはこの時期、農繁期である。冬野菜、春に収穫するものなどの仕込みの時期である。僕はまわりの畑の様子を見てから動き出すくらいのんびりしていて、その準備はいつも後手後手となってしまう。

上の写真は借りている畑の3分の1、ネギ、大根、人参、菜花、空豆、ニンニク、大豆などを栽培中。これだけやっても残りの3分の2は休耕中。その何処かで今年も小麦を作ろうかなぁ、と。大豆は枝豆として食すなら今が収穫時だが、周りに配ってもとても食べきれる量ではなく、残りはそのまま立ち枯らせて、大豆として12月頃収穫する。例年ならその大豆を味噌にするのだが、味噌ももう2年分くらい仕込んである。納豆や豆腐でも作ってみようか。

 さて、今日はは予報では晴れだったので午前からチャリンコのトレーニングを予定していたのだが、朝早くに行きつけの種苗店から、オーダーしておいたタマネギの苗が入荷したとの連絡があり、明日の天気予報は雨。なら今日植え付けでしょ!と予定変更、朝から畑の準備である。

植え付け自体は簡単な作業だが、その前に土作りの準備がなかなか重労働である。これまたちょっと離れた所に借りている10坪ほどの小さな畑に、10日程まえに堆肥、有機石灰、麦わらを土に鋤き込んでしばらく放置。今日は元肥を追加して良く耕し、畝立てしてからマルチシートを敷いて準備オッケー。ってこれ全部自己流。全部有機肥料で、農薬も一切使わない。この離れの畑、年々土が良くなっていて、連作にも関わらずここで毎年美味しいタマネギが必ず穫れるから不思議である。

そして夕方、甘〜く出来上がる極早生のタマネギの苗を200株ほど植え付けた。これで予報通り今夜から明日朝にかけて雨が降ってくれるのを祈るのみ。写真右半分は入荷待ちの普通の早生のタマネギをもう200株植え付ける予定。タマネギは収穫後軒先に吊るして乾燥させれば保存がきくので毎年多めに作付けする。極早生のタマネギは収穫時、生でかぶりつける程甘くて美味しい。タマネギの栽培が一番ワクワクするかな?

2013年10月24日木曜日

落花生、大豆収穫、そしてまたも台風

ライヴが終わって一息ついて畑を眺めれば、大豆、落花生がそろそろ収穫の時期。そして今年はこの時期なのにオクラ、ナス、ミニトマトがまだ実をつけている。晩生のキュウリはもうおしまいだが、それでも100円の苗から美味しいキュウリが何十本か穫れ、食べきれないものはピクルスにして保存。

今年の大豆はツルボケと言って葉ばかりが大きく茂って、サヤに実が入らない(豆が膨らまない)状態。これは土の中の窒素が過多になると起こる現象とか。それでも10株くらいについた実を穫れば大きなボール一杯くらいになる。去年穫れた大豆を味噌に仕込んだものがいい感じで熟成していて、おおきな瓶イッパイ(2年分くらい)あるので、今年の大豆は枝豆として食す。それにしては食べきれない量かな。

6月25日のブログに掲載した通り、落花生の種の発芽は鈍く結局5株のみ成長。それでも今年はタヌキやハクビシンの襲撃?を受けずに無事収穫。写真が収穫の全量である。こんな量でも買えば1,000円くらいか。というか量ではなく自分の畑で穫れたことに意義があると自己満足する。有機無農薬栽培のせいか、味は抜群に美味い。

さてさて、今週末にまたも台風が近づく予報。26号は目の前の伊豆大島に甚大な被害をもたらしたが、房総半島の東側をぬけたので北からの風が吹き、我が家はなんとか塩害を含め大きな影響をまぬがれた。西側を通過すると南からの風が強く吹いて塩害を招く。
しかし海は大荒れ、今まで見た事の無い大きな波が立ち、道路までかぶるほどだった。我が家から見た海の様子、写真をクリックして大きく見て欲しい。地元の漁師さんは皆「今回の台風も同じコースだよ」と。その根拠は長い経験からくるものなのか、大きな被害が出ない事を祈るばかりである。今年は台風の発生数も多く、季節感も例年と随分違っており地球の自然のバランスに異変が起きているように感じるのは自分だけなのか。

2013年10月22日火曜日

Romantica Live 終了!

21日、月曜日、楽屋でのライヴ、盛況のうち無事終了。

リハーサル中
一夜明けて目が覚めるとまず、「夕べはなんだかよく喋ったなぁ」と長過ぎたMCに反省の気持ちを抱きながら朝を迎えた次第(苦笑)。今回のライヴはDMも出さず、インフォメーションが少なかったにもかかわらず、たくさんのお客さんに来ていただき、ひたすら感謝々々。

6月のRomantica再スタートのライヴより心がけているのは、他の人が主催するライヴに参加する時と同様、フツーに楽器運んで、演奏に集中して、フツーに楽器片付けて家まで帰ること。当たり前の事のようだが、以前は自分が主催するのだという気持ちが強過ぎて、メンバー他、いろいろな事に気を遣い過ぎてライヴが終わるとドッと疲れる感じだった。そこで意識を切り替えて、優秀なメンバーに囲まれているのだから、自分の楽曲をみんなに任せておけば自ずとサウンドするハズだと思う事で、自分の演奏にもより集中できるようになり、ライヴそのものをより楽しめるようになった。以前は長いツアーなどから帰ると一気に疲れが出て、熱を出して一日寝込んでしまうことも・・・。

ただ自分が主催したライヴは、他の人のライヴに参加してとてもいい演奏が出来た時の満足感とはまた違った充実感があって、これは何にも代え難い感覚。今後もいい意味で"気楽に"ライヴをやっていきたいところ。バンドネオンの早川くんが暫く日本を離れるのでまた編成が変わるかも知れないが、来年はツアーを含めちょくちょくライヴをやろうと思う。できれば新曲も携えて・・・。


2013年10月15日火曜日

十年に一度の・・・

十年に一度の台風とさえ言われる、大型で強い台風26号が関東へ向かっている。しかも予想進路では房総半島直撃か?

米軍のサテライト映像、米軍では台風25号として認識
南房総へ移ってから1、2度大きな台風に見舞われているが、どうも今回の台風は今までのそれとはちょっと規模も強さも一回り違う様な気がする。都内に住んでいるときはマンションだったり、一軒家でも隣の家との軒先が近い為、台風で天候が荒れてもそれほど怖いと思ったことは無かった。
今の住処は素晴らしい自然に満ちた環境なのだが、それは自然の厳しさにも直面させられる訳で、自然の恩恵にあずかる面、その裏腹のリスクも大きい。

だからと言って台風に向けて出来る事と言えば、雨戸をしっかり固定するとか、風で飛ばされそうな物を片付けておくと言った、たわいないことくらい。あとは無事の台風通過を願うのみである。我が家の周り360度は全て田畑で、風を遮るものが無い。台風の接近とともにTVの写りが悪くなったり、停電に見舞われたりと、まあそのくらいならなんてことはないのだが・・・。ハッキリ言って今回の台風に関してはビビっている。

海に面した我が町では、海が大時化(おおしけ)になると、海岸一帯が潮で霞んで、この塩分を含んだ空気(飛沫)が雨と強風で一帯に吹き付けられる。この影響こそが塩害である。農作物、庭木など潮に弱い植物は一夜にして葉を枯らしてしまう。先日蒔いた冬野菜の種が芽吹いたばかり、まあ塩害の影響を受けるのは明らかだろう。と、憂慮ばかりしていても仕方がない。

来週月曜日に行うロマンチカのライヴに台風のタイミングがぶつからなかっただけでもラッキー。万全の体制で臨むのみ。写真を見る通り大型なので、広範囲に影響を及ぼすと思われ、みなさんも油断せずこの台風を無事お過ごしください。

2013年10月11日金曜日

リカバリーとストレッチ

田舎生活はとにかく身体を動かす事が多い。まあ暮らし方にもよるだろうが、畑仕事などは重労働。疲労しすぎないよう、一日2〜3時間くらいをメドに身体を動かす。畑仕事は時期々々によって作業が異なるが、基本は腰まわりに負担がくる。草刈り、畝立て、施肥、収穫と農業の基本は腰の力を中心に作業する。腰の曲がった90歳近いおばあちゃんでも、毎日畑へ出て一日中仕事をする姿を見ると、長年やってきている事とはいえ、どこにそれだけの体力があるのか不思議に思ってしまう。

例えば「演奏がキツかった翌日、手に痛みが少し残り身体全体がだるく疲れが残る日は、まるっきり動かず休養するよりも軽めの運動をした方が疲労回復が速い」と信じている。こういうのを積極的休養とかアクティヴリカバリーと呼ぶが、程よく体全体の血流を促して疲労回復を早めるのだ。これは農作業や自転車のトレーニングの疲労回復にも同様に有効で、常に心がけていること。

最近スポーツウェアの一種でコンプレッションウェアと呼ばれるものがあるが、身体を包み込むように加圧して筋肉をサポートするもので、血流がスムーズになることにより、むくみが抑制されて疲労から素早く回復する効果あるとされている。運動中に使うものも有れば、リカバリー用として運動後に着用するものもある。僕はリカバリー用のもので下半身全体を包むタイツ状のものを使っているが、これを作業後やトレーニングの後に着用してみると、明らかに疲労回復に効果があると実感できる。

加えてストレッチなども血流を良くするのに一役かってくれる。歳とともに年々肩から首、股関節など可動域が小さくなりつつある。今や運動前と寝る前のストレッチは欠かせない。ストレッチはべつにハードなトレーニングをしていない人でも、徐々に固くなる関節や筋肉をほぐす意味で心がけるようにしたらいいと思う。

そして最近ハマっているのがストレッチポール。右の写真がそれ。このポールの上に仰向けに寝て、7つ程の基本的な簡単な動作をすることで、肩甲骨や骨盤など普段意識しにくい関節を矯正できる。なんと言っても肩甲骨がどう動いているのかをずっと感じながらストレッチできるのがいい。肩こりがひどい人などとても効果があると思われ、オススメしたい。背中全体の血流も良くなるのか、疲れた身体が自然とリラックスできて、寝付きもいい感じがする。別に宣伝をする訳ではないが、器具を使ってこそこのストレッチが可能だ。

歳とともに疲労回復に時間がかかるようにはなるが、身体のメンテナンス次第でまだまだ自分の可能性を広げることはできると思う。頭と身体はいくつになっても柔らかくキープしたいものである。

2013年10月6日日曜日

美しいフォーム キリエンカ編

またも細か過ぎて分からないシリーズとでもいおうか、コアなチャリンコネタ、且つ長い内容なので、自転車に興味の無い方、スルーお願いします。

集団先頭でチームを引っぱるキリエンカ
こーぢ倶楽部に通い出してからはレースの見方さえ大きく変わって、好きなタイプの選手もフォーム、スピード、レースの展開のさせ方等、それらを支える総合的な資質を見て応援するようになった。前回の同タイトル記事では、フィリップ・ジルベール選手を紹介しながら効率のいいフォーム、ペダリングについて書いたが、今自分の中でヨーロッパのプロのレースシーンに於いて、この効率のいいフォーム、ペダリングがナンバーワンだと思う選手、ヴァシル・キリエンカについてちょっとした考察を。

キリエンカ選手、ベラルーシ出身で昨年までモビスターに所属。今年よりチームスカイに移籍。32歳のベテラン選手と言っていいだろう。タイプとしてパンチャーだが、トラック競技あがりの職人肌。3大ツールでのステージ優勝経験もある実力派トップライダーだ。今年のツールドフランスでは総合優勝したクリス・フルーム選手のアシスト役として活躍。

そのツールドフランスで彼の走りが僕の目を引いた。(写真はTVで流れた映像をそのままデジカメでパチリ)総合優勝を狙うチームスカイはオールスターチームと言っていい程優れた選手が揃っている。フルーム選手を常に集団前方に位置させるため、チームメイトは集団をコントロールすべくハイペースで集団前方を引くのだが、その筆頭がキリエンカ選手。50km/h近いスピードでその先頭を淡々と引く姿を見ると、上体が全くぶれず、ペダルを回す足を見なければまるでデスクワークでもしているかのごとく上体がリラックスしているように見える。しかし運動量、出力はイッパイイッパイなハズ。逆に必死に走っているように見えないので、スポーツ映像としてはオイシクないのでは?とまで思ってしまう。そして体型はすらっとスマートというより、腰回りがガッチリしていてちょっとアジア人的な体型にも見える。そこに親近感を感じたりもして・・・。

さて今年の3大ツールのひとつブエルタエスパーニャ、キリエンカ選手は第18ステージで残り40kmから逃げを決め、単独逃げ切り優勝を果たした。ブエルタではチームに総合優勝を狙う選手がいなかったため、この日は自分でステージ優勝を狙っていたのだろう。

写真を見て欲しい。この日のコースはラスト6kmに激坂が待ち構える頂上ゴール。これはゴール前1kmあたり、画面左下にはこの時の斜度21%の表示が見える。わかる人にはわかると思うが、21%の坂とはとんでもない角度で、普通の人なら自転車で登る事はできないだろう。注目すべきはこの時のキリエンカ選手の姿勢である。静止画ではわかりにくいが、右足大腿を思い切り引き上げながら、足首がリラックスしているので足の甲は正面を向いており、踏み込む左足の力とこの引き足の力のバランスで自転車を垂直に安定させ、この激坂をスイスイ?登ってしまう(顔の表情は苦しそうだが)。背景の下界の景色がこの角度に見えているので、いかに斜度のキツいところ走っているかがわかるだろう。

ヒルクライムを得意とする選手でさえ、この激坂区間はダンシングしてゴリゴリと登っていくので、いかにも斜度がキツいのだなと思えるのだが、キリエンカ選手のあまりにスムースなペダリングと安定した姿勢を見ていると、激坂を登っているように見えないのである。さすがにこの前後では滅多に見せないダンシングを少し交ぜてくるのだが、彼は自転車を殆ど左右に振らずにダンシングする。結局このペースに後続はだれも追いつけずこのままゴールしてしまう。思わず「やったねキリエンカ」とつぶやいてしまった。

そしてこのブエルタエスパーニャ後すぐに開催された世界選手権。その個人TT(タイムトライアル)ステージ、予想通り、トニー・マルティン、ファビアン・カンチェラーラ、ブラッドリー・ウィギンスのTTスペシャリストの三つ巴で、表彰台をこの3人が飾ったのだが、僕が一番嬉しかったのはキリエンカ選手が3位のカンチェラーラ選手から遅れること38秒の差で、4位にはいったことである。あの21%の坂をスイスイ登る感覚の延長線上にTTの走りがあったのだと思う、いやその逆か。

僕がこーぢ倶楽部に通う前なら、こういう渋い選手に目を引かれなかったかもしれない、いや気付くこともなかったかもしれない。目指すはキリエンカ選手のフォームだといえば、「それはトッププロの話でしょ」とかわされそうだが、自転車に乗る基本はプロもアマチュアも同じハズ。目指すイメージをしっかり持つことはとても大事だと思う。

2013年10月1日火曜日

農繁期

今年は夏野菜が長い間収穫でき、今だオクラ、ナス、ミニトマトと少量だが収穫が続いている。
先日アップしたカボチャ畑も収穫後、ツルを引き抜き、跡地の草刈り、耕耘を施し冬野菜の準備にとりかかった。今年カボチャは大量に収穫でき、結局2株の苗から50個以上(あまり多いので数えていない)の収穫となった。親戚、知人に送ってもまだかなりの数が残っている。カボチャは冬いっぱいは保存がきくのでのんびり食べるとするが、売りたい程の量である。

写真はカボチャ畑だった場所で、昨日いくつか畝を作り、大根、人参、菜花の種を蒔き、ソラマメを追加予定。5株ほど見えている苗は芽キャベツ。今日はタイミングよく雨が降ってくれた。大根、菜花は毎年作っているが、種からの栽培は出来不出来にムラがあり、去年大根は豊作、菜花はわずかしか発芽しなかった。これだけは自然に任せるしかない。

一株から広がったキュウリ
また、夏の終わりに植えた晩生のキュウリの苗も順調に育ち(写真)、この時期だが1日2本くらいの収穫がある。今マーケットでキュウリは2本¥150くらいとかなり高価、¥98で買った一株の苗で日々収穫があるので随分得した気分。

さて、ここ千倉町七浦地区は冬期の花栽培で有名。毎年TVの旅番組で特集されることもあって、近年2~3月は花畑を訪れる観光客も随分増えた。花の多くは仏花が中心であるが、真冬でありながら海の色と花の色のコントラストが奇麗で、この地域ならではの景観が広がる。

そして、今こそその花畑の仕込みの時期で、どの畑も花の苗の植え付けで忙しい。米の収穫が終わったと思えばすぐに冬の準備、まさに農繁期である。花畑を作る農家も高齢化が進んで、この先いつまで奇麗な花畑の景観が続くのか、と思わせられるが、おばあちゃん独りでも広い畑をみるみる奇麗に整え、その良く働く姿にとにかく頭が下がる。半農半漁の家庭も多く、家族総出で漁に畑にと、とにかく身体を動かしてみなよく働くと感心させられるが、いざ自分で畑仕事をすれば2~3時間でバテてしまう。みなの仕事がいかに重労働であるか、毎度この農繁期に身をもって知るのであった。

2013年9月28日土曜日

ハープの魅力、魔力?

ここ一週間、録音の仕事で都内に行ったり来たり。久しぶりに徹夜仕事もあって、時差ボケ状態。昼夜逆転は歳のせいもあってか身体にダメージが。演奏中は内容に集中するので気にならないが、朝帰りは翌、翌々日と疲れが残ってしまう。身体を鍛えているといっても寝不足、不規則な生活にはかなわない。ちょっと情けない。

さてそんな中、昨日は菊池成孔氏率いるペペ・トルメント・アスカラールのニューアルバムのレコーディング。今回の編成はパーカッション2人、ピアノ、ベース、バンドネオンにハープ。菊池くんはこの日唄とラップ。なんとも珍しい編成だが、当たり前にサウンドしてしまうから不思議だ。

写真の楽器はご存知ハープである。奏者は堀米綾さん、プロフィールはググってね。正にハーピストらしい素敵な女性である。僕はこのバンドに関わるまでハープと一緒にライヴをやったり、録音をしたりという経験は無かった。出来上がった音にハープがダビングされているという事はあったけれど。生演奏を聴くのもクラシックのオーケストラにハープが加わったものを聴いたくらい。

この楽器、単体で聴けばいわゆる竪琴の柔らかいゴージャスな音がするが、他の楽器と交じると独特な存在感となる。ギターやピアノの様に直接耳にこないというか、全体を包み込むように鳴って、決して前へでしゃばらない音なのに、要所々々でキラリと輝く響きが際立つのだ。そしてこの楽器があるか無いかで、バンドのサウンドはガラリと変わってしまう。しかし聞き慣れない人だと、CDを聴いているだけではハープのパートを聴き分けるのが難しいかな。菊池くんのアレンジではこの楽器の魅力を各所にちりばめ、もはやペペには欠かせないパートとなっている。

今回も奇々怪々のポリリズムと意表をつく音の組み合わせ、ハーモニーはいつもの通り、果たして新作の内容はいかなるものに・・・。

2013年9月20日金曜日

Romantica Live!!

Photo by 早川純
あと一ヶ月程先になりますが、中目黒「楽屋」にてRomanticaのライヴをやります。

今回も前回同様、トリオにバンドネオンを加えた4人編成で、詳細は下記の通り。

    10月21日(月曜日)
    @中目黒「楽屋」Tel:03-3714-2607
    OPEN / 18:00  
    START / 19:30~ & 21:00~
    Charge : ¥3,000
    メンバー    田中倫明(Perc)
                     梶原順 (G)
                     橋本歩(Cello)
                     早川純(Bandoneon)


バンドネオンの早川くんは向学心豊かな若者で、11月から来年7月までフランスへ留学します。もちろんバンドネオンの腕を磨くため。しばらくこのメンバーで演奏できなくなりますが、彼の成長を見守りながらまた帰国した際には一緒に演奏したいと思っています。

Romantica自体は今後もライヴ活動をして行きたいと思っています。トリオなり、別の編成で出来ればツアーなども企てたいと・・・。今後の動向もチェックしてください。

2013年9月16日月曜日

Y.ASANO 7th Years Memorial Live

久しぶりの3日連続ライヴで今朝は手が腫れぼったい。ただ普段のライヴやツアーが終わった感覚とは全く違った余韻が自分を包んでいる。

2007年、ギタリスト浅野祥之氏が亡くなり七回忌にあたる今年、この節目に彼の為に何かしようと立ち上がった企画。角松敏生氏を中心に、彼にゆかりのあるミュージシャンが集まって在りし日の浅野さんを偲ぶライヴを行った。

亡くなった時は、あまりの急な出来事に驚いている中、あっという間に葬儀も終わってポカンとしてしまい、しばらく彼の存在がなくなった事を実感できずにいた。お通夜もみんなでゆっくり飲み明かした覚えもなく、四十九日の頃だったか、家を尋ねて今一度お線香をあげに行ったものの、それ以来彼を知るミュージシャン同士、会えば彼を懐かしむ話をするくらい、ただ時間だけが過ぎて行ってしまった気がする。

今回のライヴは彼の残した音楽をみんなで振り返りながら、デジタル技術を活かして、生前録音された彼の演奏や唄のトラックに合わせて、ライヴ演奏をするというもの。ライヴには旧知のミュージシャンがゲストとして訪れたり、ライヴ、ツアーに関わったスタッフも多く駆けつけ、しばらく顔を合わせなかった面々が集まり彼の音楽を懐かしみながら、ライヴ終了後は毎夜みんなで酒を酌み交わし、その想い出話は夜更けまで続いた。

今回、改めて浅野さんの音楽に触れる事で、当時気付かなかった彼の広い音楽性、音に対するこだわりなど今になって新たに感じることも多く、特に彼が90年代前半に主催したバンド「空と海と風と」での彼の楽曲は、僕のイメージする浅野さんの姿そのものという印象で、当時ライヴも何度か観ているものの、楽曲だけを取り出して演奏してみると、その素晴らしさを再認識させられた。

アンコールでは中学二年生の倅さんの友也くんがギターで参加、その堂々たる弾きっぷりにメンバーもビックリ。まさに浅野さんが生まれ変わったような姿を、暖かく見守りながら一緒に演奏できたのは貴重な時間であった。そしてメンバーそれぞれ浅野さんに対する想いも熱く、いろんな場面で皆涙をこらえながら演奏していたという事もお伝えしたい。

僕にしてみるとこういうライヴの内容は初めてで、こういった機会にミュージシャン、スタッフ、そしてお客さんが多く集まったのも、浅野さんの人柄、人間性の現れだと感じさせられ、七回忌という節目にふさわしい素晴らしい内容だったと思う。

追記:今回のライヴにあわせて用意した「イーハトーヴ浪漫」を多くの方々に買っていただいた。普段はお店が販売手数料をとるのだが、今回はこの主旨を汲んでいただき手数料は無し。売り上げは浅野さんの七回忌の法要の御仏前として、そしてみなさんの気持ちもお届けしたいと思い、ご家族に進呈させていただいた。

2013年9月12日木曜日

美しいフォーム

この記事はコアなチャリンコネタで、且つ長〜い内容なので、自転車に興味の無い方パスしてください。

僕にとって競技用自転車のフォームやペダリングはある意味永遠のテーマ。プロでも全ての選手が同じフォーム、ペダリングスキルで走っている訳ではない。正解は個人々々違うものかもしれない。僕は50歳を超えて、楽器を演奏する際の理想的な姿勢というものをよく考えるようになった。加齢とともに音の出し方も変わるとはいえ、エレクトリックな編成ではそれなりのヴォリュームを要求される。そこで効率よくパワー(音量)を出しながら疲れにくく、かつ自由なパフォーマンスをするにはどうしたらいいのか?

前述したこーぢ倶楽部にてロードレーサーの乗り方を学びながら、身体の使い方に大きなヒントを得ることが出来た。自転車の乗り方と楽器の演奏方法(打楽器の叩き方)は一見全く違う運動だが、いずれも近年よく取り沙汰される「体幹筋の使い方」が要だと気がついた。そこを中心に身体の使い方を意識すると、自ずと効率良い奇麗なフォームが浮かび上がってくる。おかげで最近は随分と楽に演奏できるようになってきた。

さて現在、3大ツールのひとつブエルタ・エスパーニャが開催中である。この写真は第12ステージで優勝したフィリップ・ジルベール選手。世界チャンピオンの証、アルカンシェルを纏った彼は31歳、自転車選手としてはベテランで脂ものっている時期である。このステージ、ゴール前がわずかながら上り坂ということで優勝のチャンスを狙ってゴール手前11kmを行く姿。ゴールまでの位置取りを争いながら時速50kmを超すスピードで走っているところ。彼はいわゆるパンチャーと呼ばれるタイプの選手だが、平坦なスプリントよりも短い上り坂でのスプリントで爆発的な力を発揮する。この日もゴール前の短い上り坂を活かして、先攻する選手をぶち抜き優勝した。

TV放映の為、バイクの後部座席にカメラマンが乗って選手を追走しながら撮影する。この日の優勝候補として真横から抜かれた映像となったが、この映像がなんとも興味深い。僕はひたすら美しいフォームだと思うのだが。

こーぢ倶楽部のレクチャーで、康司さん現役時代のフランスでのレースの映像を見ながら理想的なフォームの解説をしてくれる。そのレース内容は、ジルベール選手が集団からアタック、そのアタックを追って康司さんとコフィディスの選手二人が集団から飛び出す。映像はゴール手前10km程前だっただろうか?先行するジルベール選手とそれを追走する康司さんの画像が何度も交互に映し出される。

現役時代、ガチャ踏みだった?康司さんは、ジルベール選手がいかに効率のいいフォーム、ペダリングをしているかを訴える。なんと康司さんと一緒に前を追うコフィディスの選手もガチャ踏みで、ジルベール選手はスピードにのったまま上体が動かないのに対して、二人はペダルを踏み込む度に上体が左右に揺れる。その様子の差は素人が見てもわかる。プロのレース、早く走れるならフォーム、ペダリングともどんなスタイルでも構わないとも思うが、効率のいいフォーム、ペダリングによるパフォーマンスは長時間強いパワーを出す際にじわりじわりと差がでる様に見える。結局2人はジルベールに追いつく事無く、集団から1人上がって来た選手と3人で2位争い。康司さんは4位でフィニッシュした。(これでももの凄いことだけれど)

現代の競技用自転車は、ペダルとシューズをスキーと同様ビンディングシステムで固定するのが常識。そこにプロとアマチュアの違いは無い。このビンディングペダルの特徴は、ママチャリと違って足とペダルが固定されているおかげで、踏み込むだけでなくペダルを引き上げることが出来る。よって踏み込む足と反対側の足を引き上げることで股関節まわりの多くの筋肉を大きく使うことによって、より強い力をペダルに伝えることができるという訳。

今一度ジルベール選手の写真を見て欲しい。左足、足首の力が抜けて大腿でペダルを引き上げる様子がハッキリと分かる。証拠に足のつま先が真下を向きかかとが持ち上がって、大腿からペダルを引き上げている。この力の加え方をすると自転車は自ずと直立しようとして、自転車自体が真っすぐ安定して進み、身体も真っすぐブレず体幹が安定して股関節周りの筋肉の動きをダイレクトにペダルに伝えられるのである。踏み込むだけのペダリングをしていると右、左と踏み込む側に体重が乗ってしまい、自転車も左右にブレてしまう、これがガチャ踏み。これは3本ローラーに乗ってパワーをかけてペダリングしてみると、誰にでもすぐに分かる。

そしてもうひとつ注目すべきは、身体の大きさとフレームの大きさの比率である。ジルベール選手は身長179cm、ヨーロッパ人としては標準的かと思われる体格だが、フレームサイズは身体の大きさに対して日本の常識?からするとちょっと小さめに感じないだろうか。フレームのサイズは定かではないが、ヨーロッパのレースを良く観察すると、フォームに応じたフレームサイズは意外と小さい。そしてサドルとハンドルの落差が大きいのはヨーロッパ人の手足が長いからだと説明されるが、果たして本当にそうなのか?効率よくペダリングする為の姿勢というのは自ずと決まってくるもので、この前傾姿勢にも根拠がある。それは全て体幹筋の強さが要になるが、自分でも鍛え方次第でこういうフォームをとれるハズなのだ。

この写真では、ゴールまで距離も少なくスピードもかなりのっていると思われ、サドル前方に腰が位置しているが、多分この時点では、ハンドルを握る手にも力は入っておらず腕はリラックス、力は体幹筋を中心に、ペダルを回すために踏む力と引く力のバランスが効率よく伝わっていると思う。ここからゴールスプリントで一段と加速する時には肩から腕にも力が加わって、よりパワフルな走りとなると考察する。しかしジルベール選手はゴール前のスプリントでもあまり自転車を大きく振らず、姿勢が崩れない。

奇麗なフォームに見えなくても速い人は速い。個人差はあるものの、結局2輪という不安定な乗り物の上でいかに強いパワーをスピードに変えるかは「体幹筋」が要だと見えてきたが、それを鍛えるには努力も伴うし、理想のかたちをイメージすることも大事だろう。しかし美しいフォームには理由だけでなく、結果も伴うので、やはり諦めずに目指したいものである。楽器の演奏にしろ、自転車の乗り方にしろ。

2013年9月10日火曜日

奇麗な花には・・・

蒸し暑〜い夏がいつまで続くのかと思いきや、朝夕ぐっと涼しくなって季節は確実に秋に向かっていると実感できるが、我が家では季節ハズレに咲き乱れるハイビスカスよろしく、なんとこの時期になって鉢植えのブーゲンビリアが満開 ! ! 。沖縄あたりでは生け垣になっていたり、その鮮やかな花の色が夏の強い日差しに映えるイメージだけど、我が家ではこれからしばらく咲き続ける。というか少し寒い時期こそしっかり咲いていたりする。

が、ブーゲンビリアはこの奇麗な花から想像できないくらい強い植物で、ツル状に枝を広げていくのだが、その枝に鋭いトゲを持っている。地植えでも越冬してしまうし、春先からビュンビュンとあちらこちらにそのトゲのある枝を伸ばして、周りの木々を呑み込んでしまうくらいの勢いとなる。かと言って剪定をしても、思いもかけないところから枝分かれするので、こちらの思惑どおりに木の形を作れないとくる。なので大きめの鉢に植えてあげて、手に負える範囲の大きさで育てるのが良いかと。強いを超して凶暴と表現してもいいかも。


そして、5月にたった2株だけ植えたカボチャの苗。夏の間にツルを伸ばしまくって30坪程に広がった。9月に入って実が段々と大きくなり始め、ここへきて20個近いカボチャの収穫である。ツルの間にはまだこれから大きくなりそうな実がこの2~3倍程ある。旬はあくまで収穫の多い時期を言うらしいので、今月から来月にかけてが旬となるのだろうが、カボチャは穫れたてよりも、少し寝かせた方が甘みが増すという。「冬至にカボチャを食べると風邪を引かない」なんていうくらい、おいしいのは冬の時期かもしれない。環境がよければ1年くらい保存できるので、我が家ではここ数年カボチャを買ったことが無い。

2013年9月5日木曜日

イーハトーヴ浪漫、再発 ! !

来週の金、土、日と目黒ブルースアレイにて行われる、角松プレゼンツ「浅野祥之 7th Years Memorial Live」に向けて、ライヴ演奏はもちろんのこと自分で何か出来る事ないかなぁと考えていたところ、浅野さんがRomanticaに参加してくれたアルバム、「Dos」と「イーハトーヴ浪漫」を聴き返してみた。中でもやはりベストテイクは「IHATOV」のギターソロでなんとも印象的。宮沢賢治を好きだった浅野さんのイメージもあって、当時の録音風景なども思い出し、彼の想いがストレートに音になっていると感じた次第。

元々の「イーハトーヴ浪漫」はCDの他にイメージ映像を収録したDVDも合わせ、ジャケットも凝った力作で、2005年にリリースした作品。収録した楽曲数は少ないが、この作品を作るにあたって小説を読み耽ったり、花巻へ取材に行ったり、賢治さんの作品の権利を管理している林風舎を尋ねたり、かなり入れ込んで制作に取り組んだ。Romanticaの作品の中でも一番評判が良かったのもこの作品、何度か増刷もしたが完売してしまい、手元に数枚が残るのみ。

今回のライヴをキッカケに増刷を、と考えたのだが、CDとDVDをカップリングしたこともあってこのCDだけ重量感があって、値段も¥3000とちょっと高め。そこで今回、その音源のみをパッケージしてジャケットもシンプルにデザイン仕直して値段を下げ、¥1800で販売することに。今回のライヴでの売り上げは浅野さんのご家族に進呈しようと考えている。ライヴに来られる方で、まだこの作品を聞いていない方には是非お買い求めいただきたい。ちょっと多めに作ったので今後、自分のライヴでも販売していく予定(CDショップでは扱われません)。

2013年9月3日火曜日

晩夏、色鮮やか

9月に入ってもここ南房総は日中はまだ30℃を超える暑い日が続いている。しかしこの暑さの中、空の色は明らかに秋の気配を醸し出す。写真は我が家のハイビスカス。ここ数日昼間の日差しは強いが、空は遠く青く抜けまくり、景色全体の色のコントラストがとても強い。この写真も背景の空に花の色が妙に浮き上がって見える。真夏だと湿気がもう少し多く、空の色も霞んで見えてこれほど原色が引き立たない。

この辺りではハイビスカスも地植えにして、冬の風さえ避けられれば越冬できる。しかし1月頃には葉が一度全て落ちて、芽吹くのは5月くらいから。花は8月の盛夏の時期からポツポツと咲き出す。沖縄あたりだと通年葉も落ちないはず。しかしこれから花の咲く期間は長く、なんと12月くらいまで花をつける。秋にハイビスカスが咲くのはなんだかイメージと違うのだが・・・。

さて乗鞍から戻って畑を見れば収穫しそびれた野菜が大きくなっていて、オクラ、茄子、ピーマン、トマトと、もう終わりかけの季節のハズと思いきや、ざっと これだけ収穫できた。特に今年は茄子がとてもよく実をつけてくれる。8月半ばには葉も随分枯れてそろそろ終わりかな?と思っていたら、その後雨が降ってか らまた復活。植え付けたのはたった4株だが、大きく繁茂してまだ当分収穫できそう。秋茄子ということになるのか。実も真夏時よりも奇麗で虫もつきにくい。 こういう状態は植物自体にパワーが満ちあふれている証拠。葉や幹に勢いが無いとすぐに虫がついてしまう。

キュウリや茄子、トマト等、収穫に追われる時期は毎日食べても余ってしまう。例えば今年のキュウリは2株を植え付けただけなのに、多い時は一日に10本くらい収穫がある。ピクルスにしたり、漬け物にしたり、サラダにしてもまだ余ってしまう。そこで今年はこんな保存法を見つけた。キュウリや茄子は5mmから1cmくらいの輪切りにして、並べて天日干しにする。水分が飛んでひなびた感じになるがこれを小分けして冷凍。収穫シーズンが終わってから解凍してそのまま料理して使うと、意外や元の食感が戻って食べる事ができる。

キュウリの収穫は8月半ばに終わってしまった。それまで収穫量の多さに頭を悩まされたのだが、穫れなくなると急に寂しくなる。マーケットに行って3本で150円くらいで売っていると意地になって買わなかったり(笑)。そこで今年は晩生のキュウリを1株だけ植え付けてみた。今のところ順調にツルを伸ばしているが、果たして秋にキュウリが実をつけるのだろうか。結果はまた報告したい。

2013年9月1日日曜日

乗鞍

チャリンコネタ、続きます。

台風が日本列島を横切る様な予報すら出ていた週末、乗鞍ヒルクライムレースに遠征。天気は予報ほど崩れなかったものの、土曜日夜にはかなりの雨が乗鞍近辺に降った。夜が明けて雨は上がり、雲の間から青空も見える程になったが、頂上ゴール付近の道は土砂が流れ込んだ模様、レースは急遽距離を短縮して15km地点の位ヶ原山荘をゴールに変更して行われた。

今年もこのレースには4500人もの参加者があり、距離を縮めての開催は主催者の英断であったが、新たに設定したゴール付近のスペースが狭く、ゴール後下山までの流れが大渋滞となった。(写真)

さて、今年の自分の乗鞍のテーマは、この一年改造してきたフォームとペダリングの技術をどう生かせるかということ。もちろんタイムも縮めたい。日本中から坂好きのライダーが集まるこのレースでは到底着に絡めるはずもなく、あくまで自分の能力を知るのが目的である。なので特にスタート前に緊張もせず、ウォーミングアップを済ませてスタートラインに着いた。タイムは1時間切り目標。

自分の参加したカテゴリーは51~60歳のF組、このカテゴリーだけで665名が参加。二組に分かれ5分間隔をあけてスタート。僕は後発。スタートはスムースで、前半はなかなか調子がいい。斜度もこんなもんだったかなぁ、という感じでスイスイ前に出ていける感じ。およそ7km地点三本滝を過ぎてから徐々に斜度がキツくなるが、それでもシッティングでクックと登って行く。

今回はパワーメーターも使わず心拍計の数値のみをチェックしながら走る。最近では加齢のせいか最大心拍数も随分下がって、余程追い込んでも170bpmをちょっと超すくらい。今回は160bpm平均をメドに走るが、164くらいになるとだんだんキツくなって158くらいまで下げるとちょと回復するという調子。ペダリング自体はかなりスムースで、今までの乗鞍で走っている感覚では一番楽しい。斜度のキツいカーブのインコースもフォームを崩さず上っていける。

下山中、道も乾いて景色も開ける
 いよいよゴールが近づくにつれ(残り3kmくらいから)、息も心拍もキツくなる。しかし足を動かす筋肉は余裕がある感じ。これは高度が高く空気が薄いからだろうか?ゴール間際もダンシングで一気に駆け上がる余裕があったけど息はゼイゼイ。タイムは1時間4分でガッカリ。というのも去年はこの地点を1時間1分で通過、ゴールは1時間26分。という事は今年の感じで頂上まで行ったとしても1時間半は切れなかったかな? 走っている感覚は今までで最高だったのに・・・。

順位は196位/665人と、このタイムならこんなモン。平均の心拍数が160bpmは自分なりにちゃんと走った証だけれど、もう少し早くゴールしたい。心拍は一杯々々なのに足は残ってるってのは、今後どうしたらいいのか?フォームにしてもペダリングにしてもまだ完成した訳でもないし、まだやるべきことはあるはず。

うまく言えないのだけれど、走っている感覚は以前よりずっと楽しいからと、自転車なんて楽に乗ってればいいやとは思えない。まだちょっとだけでも成長できやしないかと、暫くは足掻いて頑張ってみる。

2013年8月27日火曜日

いろは坂

猛暑の続いていた1週間程前、宇都宮の友人から「日光は涼しくて寒いくらい」とサイクリングの誘いが・・・。ちょっと遠いが乗鞍の練習も兼ねて思い切って出かけてみた。

週末には南房総でも雨が降り、どうやら季節の変わり目かなと思う程ぐっと気温も下がった。宇都宮も朝夕は寒いくらいに冷え込む。月曜日、朝から天気も良く、いざ日光へ向けてスタート。友人宅から東武日光駅まで約2時間、市街地を離れるとひたすら広がるのどかな田園風景の中をのんびり走る。宇都宮は山がせまる街なので、随所に清流が流れていて稲作に向いた土地なのだと気付かされる。

日光駅からじわじわと上り坂、ゆっくり高度を上げて行く。約10km程行くといよいよいろは坂の入り口である。このあたりで十分に涼しい。いろは坂は中禅寺湖へ至る道で、上りと下りは別ルートになっており、上りが第2いろは坂、下りが第1いろは坂と言われる。まずは一方通行二車線の道を上って行く。紅葉の時期にはいろは坂の交通渋滞の様子がニュースなどで流れるが、まだ夏休みということか月曜日なのにそこそこ車の交通量は多い。

初めて走る上り坂なので、様子見のペースで上る。つづれ折りのカーブには番号が付いていて、中禅寺湖手前頂上の明智平まで、20のカーブがある。暫く走ってみると意外と斜度は低く楽に上って行ける。全長約7kmを27分でクリア。コースを良く知れば25分を切れるかな。標高1274mの明智平にはレストハウスやロープウェイ乗り場もあって、大きく開ける展望に下りのつづれ折りの道が見える。

少し休憩してから、トンネルを抜け中禅寺湖へ。湖畔を暫く走ったところで遅めの昼食をとる。じっとしていると汗が冷えて寒いくらいだ。もう少し先まで行きたかったが、帰りの時間を考えてここで帰路へ。帰り道はほとんど下り坂。いろは坂の下りは斜度もキツくヘアピンのカーブもキツい。観光バスがこのヘアピンごとに止まってしまうくらいにスピードを落とすので、後ろに詰まった車であっという間に渋滞である。自転車でそこをスルスルと抜けてバスの前へ出ると、下り坂は貸し切り状態。下りが下手な自分にとっては、道幅いっぱい使って下れたので助かったが・・・。

あとは宇都宮まで下り基調で淡々と走って、友人宅へ戻ってシャワーを浴びて車にて帰路に。走行距離125km、獲得標高1420m、時間がもう少しあれば奥日光を走り回りたいところだが、それはまた次回に。都内の渋滞にもあわず順調に家に戻ると、ここ南房総もすっかり涼しい夜になっていた。

2013年8月22日木曜日

稲刈り

近所では、ここ2~3日前から稲刈りが始まっている。

我が部落、稲作をしている家はもう4~5軒になってしまった。引っ越してきた頃はもう少し多かったが、年々耕作面積も狭くなり、ちょっと寂しい。稲刈りの様子を見ても老夫婦2人か、主人1人でやっている様子。作付けにも限界があろう。それでも、刈った稲は機械乾燥はせず、はさがけして天日干しされる。これで米の味が随分違うという。写真は隣の部落の様子だが、昔ながらのなんとも風情ある景色である。

毎年このお米を少しだけわけていただく。品種はコシヒカリ、粒はちょっと小さめだがとても美味しい。他にもち米も作っているようで、季節ごとの行事では赤飯を炊いたものをわけていただく。房総には「長狭米」というブランドがあるが、これも品種はコシヒカリである。さすがに稲作をやろうとは思わないが、せめて地産地消をと、マーケットでも地元の米を買って食べている。

稲刈りは日本各地で普通に見られる風景かもしれないが、米を作るということ自体が大変な作業の積み重ねで、昔の親子三世代の大家族から核家族化が進んで、稲作を続けることが次第と難しくなってきているのだと、目の前の田んぼの様子を見ながらひしひしと感じさせられる。農業は難しい。

2013年8月20日火曜日

野菜の花

普段、健康の為とか言いながら、野菜々々とマーケットを物色していたんでは、どんな風に野菜が実を付けるのかとか、どんな花が咲くのかとか、分からないもの。

この猛暑の中でも、元気にしっかり花をさかせているウチの野菜たちをちょっと紹介。

オクラの花、今年は立派な茎に数多くの実をつけてくれました。今、オクラ三昧です。

トマトの花、今年は実がつくのが遅く、今になって収穫が続いています

茄子の花、実をたくさんつけた今年の茄子ももうそろそろ終わりの時期、まだなんとか花つけてます。

発芽率??%だった落花生の花、花が終わると子房柄というのが地中へ伸びて実をつけます。

2013年8月18日日曜日

乗鞍まで・・・

今日もチャリンコネタです。

猛暑続きというものの、同じ気温でも湿度や風で随分過ごしやすさもちがうもの。お盆前の千倉は朝夕に霧が出て湿気が多く風も吹かない日が数日続いて、今どき光化学スモッグ注意報まで出た始末。

お盆を過ぎてからは気温はそこそこ高いものの風も気持ちよく吹いて、湿度も下がり青空が高く抜けていい天気。相変わらず雨が無いので畑は日照りで、作物によっては夕方水撒きするものもある。家の周りの田んぼはもう稲穂が頭を垂れ、刈り取りも近いのか既に田んぼからは水が抜かれている。

大山千枚田の稲穂はまだグリーン色
今日は朝から南風が強く、空はスッキリ晴れ渡っている。北に進路をとり今日は房総山間部を走った。和田から小向ダムを抜け、国道410号、嶺岡を抜け長狭の先、君鴨トンネル手前でUターン。長狭街道から大山千枚田を登り二ツ山から愛宕山ピークを超え再び410号〜小向ダムを下って和田から戻る約70kmのコース。

乗鞍まで10日ちょっとしかない。今更ジタバタしても仕方ないのだが、出来るだけ練習をということで、低いながらも房総山間部を走ってみる。相変わらずパワーは今ひとつなのだが、随分と思うペダリングができてきて調子がいい。君鴨トンネル手前の坂が普段より1~2枚重いギアがかかる。千枚田から二ツ山手前の斜度のキツいところもジワッと登れて、もうピーク?という感じ。タイムは伸びないけれど、登っている感覚がいい。身体全体の筋肉を使って登れている感じで、あまり疲れない。時間があればもう少し峠を攻めたいくらい。気温が低ければタイムも縮められるだろうか?

前述した「こーぢ倶楽部」に通ってから、どうペダリングするかをいつも考えながら走るようにしている。平地でも坂でも自分のウィークポイントは徐々にハッキリしてきて、そこを意識してトレーニングを繰り返すことで身体の使い方も分かってくる。しかし思い通りの運動ができるところまで筋肉を付けない限りその先は見えてこない訳で、やはり時間がかかる事だと思う。とりあえず諦めずにトレーニング、目の前の乗鞍はあくまで通過点で、まだ伸びしろはあると信じて頑張ってみる。

2013年8月16日金曜日

サンセット・サイクリング

ブログアップ、サボりました。まあ暑いからとか、ネタが見つからないからとか、言い訳はできません。以前のブログに比べて、新たなブログではソフトが使いやすいということもあって、再開後調子よくアップしていたのだけれど、8月に入ってまるで夏休みモードに入ったごとく頭の中では文章がまとまらず、小さなネタを見つけては記事を書こうと思うものの、つい見送ってしまうという始末。それでもちょくちょくチェックしていただいている方、かたじけない。

猛暑の中、宇野千代さんの名言を見つけて、「ん〜〜っ、素晴らしい」。

   人間とは動く動物である。
   生きるとは動くことである。
   生きている限り毎日、
   体を動かさなければならない。
   心を動かさなければならない。


さてさて、今年のお盆休み、今週いっぱい続く方も多いのでは。ここ千倉町界隈には田舎を離れて都心で仕事をしている家族が一気に帰省してくるので急に人口が増えるのがわかる。それに加えて今年は観光で訪れる人もかなり多いという印象だ。

16日の今日、帰省していた人達は既にUターンした模様、町も落ち着きを取り戻しつつある。それでも週末までのお休みを楽しもうと、普段は静かな海水浴場も多くの人で賑わっている。

毎年お盆に行われる地域のイヴェントも終わり、身体も心も一段落。今日は一日時間があったので、午前中チャリンコで近所のグリーンラインを2往復、アップダウンのあるコースを利用してインターバルトレーニング。というのも9月1日に控える乗鞍ヒルクライムレースに備えて徐々に強度を上げたトレーニングをと意気込むものの、連日の暑さからかまるっきりパワーが上がってこない。今年の乗鞍は記録短縮を諦め完走目標にすべきかってくらい力が出てこないのである。果たしてどうなるやら。

お盆中はいつも走るコースに車が多く、リラックスして走れない。ロードレーサー乗りだったら誰しも経験があると思うが、明らかに嫌がらせと分かる心ない車の運転に冷やっとさせられる事があるが、これだけ交通量が増えると危険と隣り合わせである。コースや時間帯を考えて走らなければならない。

とりあえず、帰省客が減った今日は、夕方観光客が宿に落ち着くおよそ5時過ぎから、リカバリもかねて涼風の吹く海岸線をフラリとサイクリングへ。案の定車の交通量がグッと減って、夕方とはいえそこそこ明るさもある上、気温もスッと下がってくる。なんとも気持ちいい夏休みの風情である。写真はオートキャンプ場のある根本海岸。今週一杯は利用客も多そう。

連日西日本を中心とした猛暑の様子が伝えられるが、南房総ではここ数日朝夕の気温が随分落ち着いて来て、寝苦しい夜のピークも過ぎたかのように思える。立秋も過ぎているので、もう少しすると土用波が立って、気温も落ち着き一気に夏の終わりがやってくるのかもしれない。しかしここにはゲリラ豪雨も無く、日照りが続いていて畑の様子も気になるところ。早場米の収穫も近づいていて稲穂はもう頭を垂れている。ゆっくり季節が移っているようにも思えるのだが。

2013年8月2日金曜日

房州サザエ

8月に入って千倉の海はいよいよエビ網漁解禁。夕方、沖合に網を張って翌朝夜明け時に網を引き上げる。この引き上げた網から伊勢エビを外したあと、網にかかったサザエやイソッピ(カニ)、海藻などを取り除いて、網を掃除するのだが、もう毎年の恒例行事のようにこの手伝いに通っている。

初日の今日、朝5時過ぎに港へ行けば、毎年顔を合わせる同部落の人達がたくさん集まっている。港でこの網掃除をする漁師さんもいれば、家の軒先へ網を運んで作業する人もいる。いずれも近所の人が集まってその手伝いをする。久々に顔を合わせる人達の挨拶が飛び交い、みんな今年も元気でいい。網掃除をしながら世間話をする中、地域の人達の様子もよくわかるのだ。

この作業、2時間ほどで終わるが、網にかかった魚やサザエ等、水揚げしない分を手伝いに来た人達に分け振る舞う。まあこれが楽しみでもあるのだが。今朝もサザエ、小さな伊勢エビ、イソッピ(写真は一部)をいただいて帰った。イソッピはカニとして食することはないが、これで出汁をとって蕎麦つゆなどにすれば絶品となる。

ここへ引っ越してきて驚いたのは、房州のサザエの大きさである。エビ網にサザエがかかること自体最初はビックリしたのだが、時には鈴なりにかかることも。大きいものでは直径15cmくらいもあるだろうか?ひとつ食べたらもうお腹いっぱいという感じ。しかも網から外してそのままいただいてくるサザエの味は濃厚、普通市場で生け簀で売られているものも元気なサザエだが、生け簀のきれいな海水に入れられたサザエは、砂を吐いたうえ味まで淡白になってしまう。これは獲れたてを食べてみない限り分からない味である。

湘南で育った僕にすれば、夏海へ出かけると海の家でサザエのつぼ焼きなどがメニューにあって、炭で焼かれた香ばしい磯の香りが海水浴のイメージとし て焼き付いている。しかし大人になって分かることだが、江ノ島あたりでサザエ漁をしているのを見た事が無い。どうやら湘南あたりに出回るサザエは韓国産の ものがほとんどとか。貝は小ぶりで高価である。しかしそれが普通の大きさだと思っていた。ちなみに江ノ島の裏側の岩場を見渡せる食堂には「江ノ島丼」とい う名物料理があるが、これはサザエの身を小さくほぐして卵でとじた、いわゆる「サザエ丼」の事。

これからお盆前まで海況が良い日はこのエビ網漁が続く。早朝の港の活気はこの時期ならではのものだが、しばらく我が家の食卓はサザエ三昧となり、田舎生活の醍醐味を味わう特別な時期でもある。

2013年8月1日木曜日

水中カメラ 昨今

都内に暮らしている頃は定期的にダイビングを楽しんでいた。それが海の近くに引っ越して7年、近くにダイビングポイントもあれば、海が目の前にあるのに潜りたいと思わなくなってしまった。この7年間で潜ったのは数本のみ、それも沖縄に仕事に行ったついでくらいで・・・。

昨年、地元漁師さんから「漁をみせてあげる」と素潜りではなくタンクを使って行うアワビ漁に誘われた。安定した水揚げのため漁の期間中に数回、沖合の漁場を区切ってタンクを背負って海士さん数名で漁をする。せっかくだからカメラを持って入ろうと思い、久しぶりに機材を引っぱり出した。

作業の邪魔になってもいけないし、水深も深くないというので、ニコノスVにストロボを付けて潜ることに。レンズは広角の15mm、地上で動作を確認していざ水中へ。ところがなぜか水中でシャッターとストロボが同期しない。たまに潜るとこんなもんだ。しょうがないのでマニュアル、自然光で撮影(写真)。

海士さん達は水底で作業するためフィンも付けず重いウェイトを装着して海底を這いずり回るというイメージ。エアが無くなって浮上するのも、ロープにつかまり船上から引っぱり上げてもらう。こちらは中性浮力をとって水深5mくらいをフワフワしながら漁の様子をカメラに収めていく。見ていれば海士さん達の作業は重労働。エアも限りがあるので時間との勝負。まさに男の仕事である。

この機会に刺激され、房総半島南端にあるダイビングスポットへ潜りに行ってみた。太平洋を流れる黒潮と東京湾からの流れがぶつかるこの海域は魚影が濃く、短時間にありとあらゆる生物を観察できる。一本潜ればお腹いっぱいという感じ。しかしこの時もカメラがトラブって撮影できず。カメラがちゃんと動作しないことでダイビングするモチベーションも下がってしまい、それきり。

すると今年も漁へのお誘いが・・・。前回、思うように写真が撮れず、今回こそと思ったもののやはりフィルムでの撮影は大掛かりである。デジカメの水中撮影 事情を探ろうと都内へ出かけた際、某カメラ店を覗くと、今や小さなフツーのデジカメで防水15~18mなんてのが売ってる。ただ表記が○気圧防水というの ではなく、防水○メートルとちょっと怪しげである。店員さんに聞けば機種ごとに「水深○メートルまで大丈夫です」と。しかもその性能を考えれば安価。ん じゃ、試しに買ってみるかと一番ヘビーデューティー(防水18m)?なNikon Coolpix AW110という機種を衝動買い。ちなみに値段は2万6千円くらい。

写真を見れば一目瞭然、一番大きいのが一眼レフ(Nikon F4)を入れるハウジング、そしてニコノスV(左)、でちっちゃいのが今回買ったデジカメ。ハウジングでは水深60mでも問題なく撮影できるけど、これにストロボ2つ付けて潜るとかなり大掛かり。ニコノスはストロボ付けても手頃な大きさで水深30mくらいまでオッケー、-40mでも水没はしないけどシャッターやフィルムの巻き取り動作などが鈍~くなる。

そしてこのデジカメ、なんとも華奢な作り。SDカード出し入れする蓋にOリングひとつ無いぞ。あり得ん!しかし今のデジカメ、写りはいいし操作性もいい。そこでインプレなどググってみたら、ん~やっぱり、-5mで水没とか、中には-20mでも大丈夫とか。総評はダイビングで本格的な撮影には向かないと。ん~そりゃそうだ。でもニコンって水中カメラを作るノウハウをちゃんと持ってるんだから、無骨な作りで構わないからニコノスのデジカメ版くらい作ってくれないかなぁ。

そして結局のところ、今年は海況やこちらのスケジュールが合わず残念ながら漁の撮影はできなかったのである。まあでも目の前の海で-5mくらいなら撮影は可能かも、またの機会にこのカメラ沈めてみようと思っている。その際には是非レポートしたい。

2013年7月29日月曜日

ツアー終了

週末土曜日、日曜日と渋谷オーチャードホールにて綾戸さんのデビュー15周年記念ツアーの締めくくりとなるライヴ。両日ともクワイアの参加もあり、内容も濃く充実したライヴとなった。

これは内輪話だが、通常ツアーの仕事の場合、1〜2週間のリハーサルをして曲のアレンジ、曲順やステージの構成、楽器の管理、スタッフとの連携等々を詰めてロードに出るのだが、綾戸さんの現場は全く違うやり方。驚くことなかれ、綾戸さんのステージはこのツアーのためのリハーサルを全くやらないのである。今回初日は5月の札幌公演だったが、メンバーが顔を合わせるのも当日で、それもライヴでは半年ぶりくらい。およその曲順を前もってメールで知らされる程度。リハーサルは本番当日、公演前にしかやらない。

というのも、2月に行ったレコーディングでおよそ音作りは詰めてあるので、皆それぞれのパートは覚えていて、ライヴ当日、構成など曲ごとに復習って決めるだけ。以前からのお馴染みの曲もあるので、およそ20曲程度の内容もさほど時間をかけずにリハーサルする。バンドのみならずスタッフもこのやり方にもう慣れているので、照明、音響とあっという間にステージを作っていく。こういったやり方はジャズの現場にはわりとありがちだが、綾戸さんの歌う曲にジャズのスタンダードはごくわずか。決してインプロヴィゼーションに集中するという内容ではないので、さすがに初日は緊張するが、この緊張感がかえって演奏に対する集中力を高め、ちょっとしたミスもそれをどう切り返すかで新たな展開がひらけたりして、メンバーもそれを楽しんでいる部分さえあるのだ。

綾戸さんはよくステージで「昨日の演奏は今日のライヴの為のリハーサル、そして今日の演奏は明日のためのリハーサルです」と堂々とお客さんに向けて話す。ちょっと冗談まじりなこのセリフ、なかなか真をついていて、今日の演奏にベストを尽くさずして、明日の演奏がグレードアップすることはないだろうと。なので初日の札幌公演も、千秋楽のライヴでもベストを尽くして演奏しているという事に変わりはない。しかしツアーとなると短い期間に演奏する機会が増えるので、徐々に阿吽の呼吸というのかステージ全体がまとまってくるのは確か。まあそれがツアーの醍醐味というもの。

昨日のツアーファイナルの様子は8月25日にWOWWOWにて放映される。僕自身、今回のツアーはどの公演を放映されても構わないなぁ、と思うくらい楽しみながら集中できた。特に選曲、構成がよく、誰が見ても楽しめる内容だったのではないだろうか。それでいて毎公演新鮮な気持ちでライヴに挑めたのは、やはり「リハーサルをやらない」という手法が効いているのかもしれない。

2013年7月27日土曜日

R.I.P Steve Berrios

昨日、パーカッション・マガジンの記事を書いたばかりというのに、こんな訃報が舞い込んで来た。

そう、僕の師匠”Steve Berrios”(ステェーヴ・ベリオス)氏が亡くなった。まだ詳細は全くわからないのだが・・・。

前述の記事でLP社から届いたレコードから、ベーシックなテクニックを学んだわけだが、丁度その頃、79年だったか?ラテンキング「ティト・プエンテ」がN.Y.からコンボを率いて来日、それまでちょっとは理解したつもりだったラテンリズム。ところが彼等の演奏を目の当たりにして僕はぶっ飛んでしまった。今までに見た事も聴いた事もないアンサンブルとグルーヴ、自分がそれまでに体験した音楽には全く無い興奮を覚え、身も心も震えたのを今でも覚えている。

当時すでにプロとして仕事をしていたのだが、あの感覚はN.Y.へ行かなきゃ分かるまいと気がつけば翌年にN.Y. へと渡り、根本からラテン楽器を勉強し直そうとレクチャーの窓口を探して最初に出会ったのがスティーヴ・ベリオス氏であった。彼は僕が最初に手に入れたSalsaのレコード、ヘクトル・ラボーの「コメディア」という名盤でティンバレスを叩いていた人。日本ではあまり知られていなかったが、当時モンゴ・サンタマリアのバンドメンバーで、ドラムセットからディーブなアフロキューバンのパーカッションまでこなすマルチ・プレイヤーだった。

その温厚な人柄に加え、まだまだラテン音楽の右、左も分からぬ僕に丁寧にその実践的基礎を教えてくれた人である。それはレコードで勉強しただけでは分からないリズムの空間を一緒に感じさせてくれ、彼のレクチャーを受けて色々なリズムアンサンブルを覚えることができた。彼はもともとトランペット奏者で、自信のソロアルバムでその演奏を聴くこともできるが、なんと言っても個性的でテイスティー、かつグルーヴィなドラミングがたまらなく魅力的だった。

その後、彼がブルーノートに演奏に来たり、僕がN.Y.へ演奏に行ったりする機会には必ず会って飲みに出かけたものである。しかしこの数年、お互い会う機会もなく、この急な訃報にただただ驚いている次第。何があったのかは次第に分かることだろうが、いまはただご冥福を祈るばかりである。

Rest In Peace Steve!!

2013年7月26日金曜日

パーカッション・マガジン 2013

先日、フォトセッションというタイトルでブログにアップした内容がついに本になって出来上がってきた。「パーカッション・マガジン」はリットーミュージック社から出版されているリズム&ドラム・マガジンの別冊で、これまでに6巻が出版されているが、この号がなんと3年ぶりの出版となる。表紙は自分をデフォルメしたイラストか?

以前のパーカッション・マガジンでも「Cajon (カホン)」という楽器の特集で楽器のインプレをしたり、取材を受けたりして記事に取り上げていただいたが、今回またも「カホン」特集、しかも24ページにもわたる企画という。編集部から依頼を受けた時思わず「僕はカホンの専門家じゃないし、自己流でやってるんだけど、ホントに僕でいいの?」と聞き返してしまった。

じゃ、あなたは何のスペシャリスト?と聞かれれば、『?・・・』。ラテン音楽はいっぱい勉強もしたけれど、普段ラテンバンドはやってないし、ジャズもポップスも大好きだし、まあ日本においてパーカッショニストとは「何でも屋」としてどんな音楽にもフィットしたプレーができてこそプロフェッショナルというところがあって、気がつけば自分自身それを信条としていたり・・・。なので今回も自分流を打ち出して、多くの人にカホンという楽器に触れてみてもらおうと取材に応じたのであった。

自分が楽器を始めたころ、まだラテン楽器のノウハウに関する情報など全然無くて、楽器メーカーLP社(ラテンパーカッション社)から教則本付きレコードが出ていたくらい。しかも日本では手に入らない。当時はドルの両替もままならない時代、貿易会社に勤めていた姉に頼んで現金$100を手に入れ、つたない英文を綴った手紙に$100札を忍ばせて、LP社に直接、内心「送ってくれるはすないよな~」とダメもとで藁をも掴む思いでこのレコードをオーダー。

すると2ヶ月程してから米国から船便の荷物が届いた。他に心当たりなど無いのですぐさま段ボールを開けてみれば、教則シリーズ2枚、ソロ練習シリーズ3枚のレコード、計5枚が入っていて、そこにLP社社長の息子さん(後にそれが分かったのだが)から手書きの手紙が入っていて、遠く日本からオーダーしたことへの感謝の言葉と、頑張って練習してくださいという主旨の内容が記されていたのだった。その後毎日そのレコードを貪るように聞きまくり、ラテンリズムのペースをなんとか理解したのである。ん~、いい話だなぁ。(笑)

今の時代はネットが普及して、Youtube を覗けば楽器のテクニックもベーシックから巧みなプレーまでいくらでも見て聴くことができる。若いプレーヤーはそうやってテクニックを勉強しているみたいだが、自分にとって本当に必要な情報を選りすぐり、自分のイメージを膨らます事が逆に難しい時代。今回のパーカッション・マガジン(CD付き)の企画を見て、聴いて、音楽を志す若者になにかしらイメージしてもらえたら嬉しい限り。最近になってやっと、若い世代に自分が体得してきた音楽のやりかたを伝えたいと素直に思うようになった。だから自然とこういう企画が舞い込んで来たのかも知れない。

2013年7月24日水曜日

Cinco de Pan? シンコデパン? 新粉でパン!!

今年の小麦の収穫は30坪の作付けに対して20kgちょっとだった。土壌の質が上がれば同じ面積で30kgの収穫も可能だと思われるが、まあ収穫量を計画的にコントロールできるほど上手に栽培できるとも思わないし、それほど真面目にやっていないとういのも事実。ただ、効率よく収穫できれば手間も省けるし、その分時間も節約できるという訳である。

房総には小麦の製粉所が無いのでいつも通り世田谷にある島田製粉所に製粉をお願いした。製粉の行程はまず玄麦をすり潰しふすまと粉に分ける。このふすまと粉を篩い(ふるい)にかけて粉のみを分別する。最初に製粉をお願いしたとき、製粉機の構造を見せてもらったのだが、この製粉機の篩いは絹の布でできており特にきめの細かい粉が出来上がる。玄麦の60~70%が小麦粉となり、我が家では一年間で丁度このくらい(12〜15kg)の量を使いきる。

新粉ニシノカオリ100%で焼いたパン
 今年も「ニシノカオリ」という品種を育てた。この品種は強力粉になる国産の小麦で、特にパンに向いているという。今年で3年目、以前作っていた農林61号よりもパン向けと言われるが、やはり国産の小麦でパンを焼いてもさほど膨らまない。我が家では天然酵母を使って、パナソニックのホームベーカリー一斤タイプを使って焼く。ニシノカオリ100%では小さな食パンにしかならないが、焼きたてはもっちりとして香りが良く、トーストするとカリッとしてなんとも美味しい。普段は膨らみを大きくするため外国産オーガニックの強力粉を30%ほど混ぜて焼く事が多い。シンコデパン(新粉でパン)は意味も無く、ただスペイン語的語呂合わせ。

しかしこのニシノカオリ、作る手間や時間を考えたら買った方がずっと安い。自分のやり方は究極のスローフードというところ、有機無農薬はもちろんのこと畑を耕すことに始まり、種まき、草取り、刈り取り、脱穀も全て自分の手で行う。目の前の畑で出来上がるその過程を見ることで季節の移ろいを感じ、それを食してこそまた格別な充実感があるというもの。主食になるものを自家栽培するエネルギーは、自分の生命力を映し出している感覚と言っていいだろうか。音楽同様、小麦は自分のひとつの作品でもある。

2013年7月23日火曜日

ツールドフランス終了

今年のツールドフランスが終わった。100回記念のレースということでJ-sportsの番組でもちょっと趣向を凝らした内容もあったが、所詮レースは選手が主役であって、選手がドラマを作り出すのはいつもと変わらない。レースの3週間は長いようでいてあっという間に過ぎてしまう、自分的にはその間に祭があったりと慌ただしい時期でもあったが。しかしいつもツールが終わるとポッカリ心に穴があいたようになってしまう。

振り返ってみて、今年のツールは面白かったか?というと個人的にはビミョー。というのは目当ての選手の活躍がイマイチだったり、優勝者と2位とのタイム差が大きかったりと、見る側の勝手な思い込みと食い違う展開となればそれもそのはず。しかし選手たちにすれば3週間のサバイバルレース、その過酷な状況を察して見れば、大きな見所はいくつもあったし、やはり見応えのあるレースである。そして3週間TVを通して映し出されたフランス国内の風景はとても美しく、100回記念ということでゴール地点、パリのシャンゼリゼ通りに選手達がなだれ込んで来るのが日暮れ時に設定され、表彰式は美しくライトアップされた凱旋門をバックに行われた。(写真)

レース本編とは別に、レースの100年の歴史を振り返るフランスのTV特番が2時間ほど放映されたのだが、これにはちょっとビックリした。僕がツールを見出したのが80年代に入ってからで、かれこれ30年程前の話。当時はNHK BSで放送され、グレック・レモンがアメリカ人として初めてツールの覇者となった頃。それ以来常にドーピング問題が取りざたされてきて、1999年から7連覇したランス・アームストロングのキャリアが剥奪されたのはついこないだのこと。

ところがツールの歴史を振り返れば、自転車競技そのものの性質が時代を追って大きく変わってきたことがわかる。20世紀初頭は命がけで賞金をとるためのデスゲーム的見世物だったり、ナショナリズムを強く反映して、スポーツでの戦争という様相さえうかがえるのである。さながら選手はその為に当たり前に薬剤を使って戦う兵士といったところ。こういった認識でレースを観戦しているヨーロッパの人達にすれば、ドーピングに関して果たしてどれだけ問題意識があるのだろうか。

しかし自転車競技はあくまでスポーツに他ならない。オリンピック競技にまでなっているのにいつまでドーピング問題を引きずるのか、レースというショーを見ている者にとって、応援していた選手がドーピングでキャリア剥奪となれば興醒めである。そういった意味で今回のツールはかなりクリーンなレースだったのではないだろうか?選手達も新世代へとシーンが変わりゆくことを予感させてくれるレースでもあった。

2013年7月22日月曜日

はやしの口開け

千倉町は南へ行くほど砂地の海岸は少なく、房総半島南端の白浜町あたりまでずっと岩場が広がっている。

この岩場がアワビ、サザエ、伊勢エビの格好の漁場となっており、古くは江戸時代から素潜り漁が盛んに続いてきた。いやもっと古くから行われていたに違いない。この地では、漁師といっても船で魚を獲る漁をする人と、素潜りでアワビ、サザエ、ウニ等の漁をする海士(アマ)と呼ばれる人がいる。アワビは浜値も高価にやりとりされるため、海士の仕事は大きな収入源となる。我が区ではその計画的な水揚げのために、アワビの稚貝を養殖、放流して安定した漁場を作っている。





その中で、普段からアワビを保護するため漁が禁止されている場所があり、そこを皆「はやし」と呼ぶ。この「はやし」を年に一度だけ漁協の組合員に解放する日がある。これが「はやしの口開け」である。気候の安定する梅雨明け時分、大潮の日をメドに行われる。今日がその日となった。区の組合員全てが専業の漁師と限らず普段は普通に仕事をしている訳だが、みなこの口開けの日に休みをとってまで参加する一大行事である。1〜2週間前からおよそのスケジュールが告げられるようで、海士さんたちはその頃からソワソワしはじめる。というのも、解放される時間は午前中3時間程だが、プロではない海士でも数十キロの水揚げをするアワビ獲りの名人もいて、海況次第では時期が大きくずれたり中止になる年さえあるからだ。端から見ていても、皆にとっていかにこの日が大事なのかがわかる。


引っ越してきてから、もう何度かこの口開けの日の浜の様子を見て来た。都会での仕事を定年退職した人達がこの地へ戻って来て海士になる人も多く、海士の年齢層も高い。しかし子供の頃から海に親しんで来た人達にすれば、勝手知ったる我が磯というところだろう。そういう海士さん達も年々と腕を上げ水揚げも増えてくる様子がうかがえる。写真は海女にデビューしてまだ2年目の女性で、昨年の口開けの日はまだ数枚のアワビを獲るのがやっとというところだったが、今年はぐっと水揚げも増えその嬉しそうな明るい表情で、海士さん達の雰囲気を和やかにしている。

そう、この素潜り漁は船に乗って海上から潜る人もいれば、磯伝いに歩いて海へ入り潜る人もいるのだが、終了時間間際に続々と大きな魚籠一杯にアワビを入れて磯へ上がってくる様子をみていたら、ちょっと自分も挑戦したくなった。素潜り漁はシュノーケリングとは違い、シュノーケル、足ひれ、そしてウェットスーツの着用は許されない。なので一回海底へたどり着くのにかなりの体力を使い、低水温に体温を奪われ、南の島でシュノーケリングする様に悠長に海に浮かんでいられないのである。カツカネイと呼ばれるアワビを岩から剥がすための重いバールの様な道具を持って、水中メガネと桶樽ひとつを頼りに海に潜ってアワビを獲る。泳げなくてもシュノーケリングやダイビングはできるが、素潜りはそうはいかない。組合員になったとしても、ん〜、やっぱり重労働だぁ。