2013年7月23日火曜日

ツールドフランス終了

今年のツールドフランスが終わった。100回記念のレースということでJ-sportsの番組でもちょっと趣向を凝らした内容もあったが、所詮レースは選手が主役であって、選手がドラマを作り出すのはいつもと変わらない。レースの3週間は長いようでいてあっという間に過ぎてしまう、自分的にはその間に祭があったりと慌ただしい時期でもあったが。しかしいつもツールが終わるとポッカリ心に穴があいたようになってしまう。

振り返ってみて、今年のツールは面白かったか?というと個人的にはビミョー。というのは目当ての選手の活躍がイマイチだったり、優勝者と2位とのタイム差が大きかったりと、見る側の勝手な思い込みと食い違う展開となればそれもそのはず。しかし選手たちにすれば3週間のサバイバルレース、その過酷な状況を察して見れば、大きな見所はいくつもあったし、やはり見応えのあるレースである。そして3週間TVを通して映し出されたフランス国内の風景はとても美しく、100回記念ということでゴール地点、パリのシャンゼリゼ通りに選手達がなだれ込んで来るのが日暮れ時に設定され、表彰式は美しくライトアップされた凱旋門をバックに行われた。(写真)

レース本編とは別に、レースの100年の歴史を振り返るフランスのTV特番が2時間ほど放映されたのだが、これにはちょっとビックリした。僕がツールを見出したのが80年代に入ってからで、かれこれ30年程前の話。当時はNHK BSで放送され、グレック・レモンがアメリカ人として初めてツールの覇者となった頃。それ以来常にドーピング問題が取りざたされてきて、1999年から7連覇したランス・アームストロングのキャリアが剥奪されたのはついこないだのこと。

ところがツールの歴史を振り返れば、自転車競技そのものの性質が時代を追って大きく変わってきたことがわかる。20世紀初頭は命がけで賞金をとるためのデスゲーム的見世物だったり、ナショナリズムを強く反映して、スポーツでの戦争という様相さえうかがえるのである。さながら選手はその為に当たり前に薬剤を使って戦う兵士といったところ。こういった認識でレースを観戦しているヨーロッパの人達にすれば、ドーピングに関して果たしてどれだけ問題意識があるのだろうか。

しかし自転車競技はあくまでスポーツに他ならない。オリンピック競技にまでなっているのにいつまでドーピング問題を引きずるのか、レースというショーを見ている者にとって、応援していた選手がドーピングでキャリア剥奪となれば興醒めである。そういった意味で今回のツールはかなりクリーンなレースだったのではないだろうか?選手達も新世代へとシーンが変わりゆくことを予感させてくれるレースでもあった。

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